令和7年度の主な税制改正事項(学校法人向け)
令和7年度税制改正のうち、学校法人の税務にあたってご留意いただきたい改正点をまとめてみました。
【法人税関係】
1.法人税の軽減税率特例の見直し・延長
中小企業者等(すべての学校法人を含む)の所得800万円以下部分の特例税率15%の適用について、所得10億円超の事業年度は17%とする改正が行われた上で、適用期限が令和9年3月以前の開始事業年度まで延長されました。
(令和7年4月以後開始年度から適用)
2.リース取引の扱いの整備
令和6年9月に公表された新リース会計基準に対応した税制上の措置が講じられましたが、結果的には従来の扱いが大きく変わることはありません。
3.防衛特別法人税の創設
法人税額のうち500万円を超える部分の税額に対して税率4%の防衛特別法人税が課されることとなりました。
(令和8年4月以後開始年度から適用)
【消費税関係】
外国人旅行者向け免税制度の見直し(リファンド方式の採用)、リース譲渡にかかる延払基準の廃止などの措置が講じられましたが、学校法人の一般税務にかかわる改正はありません。
【所得税・源泉所得税関係】
1.基礎控除の見直し
①基礎控除額が10万円引き上げられ58万円とされました。なお、合計所得2,350万円超2,500万円以下の者については段階的に控除額が減額され、2,500万円超の者については0とされました。
②合計所得132万円以下の者について控除額が37万円加算される(基礎控除額計95万円)こととされました。なお、この控除加算額は合計所得132万円超655万円までの者については段階的に減額され、655万円超の者については0とされました。
(それぞれ令和7年分の所得税から適用、給与源泉徴収については令和7年12月の年末調整から適用、また②のなお書き部分(段階的減額)については令和7年分、令和8年分の所得税のみの措置)
③上記①の見直しに伴い、配偶者控除、扶養控除、ひとり親控除、勤労学生控除ならびに雑損控除が認められる親族の所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられました。
(令和7年分の所得税及び令和8年分の住民税から適用)
2.給与所得控除額の引上げ
給与所得控除額の最低保証額が55万円から65万円に引上げられました。その結果、給与収入190万円以下の者について給与所得控除額の最低保証額65万円が控除されます。
(令和7年分の所得税及び令和8年分の住民税から適用、給与源泉徴収については令和7年12月の年末調整から適用)
3.特定親族特別控除の創設
特定扶養親族の要件(改正前:19歳以上23歳未満で合計所得48万円以下の者)のうち、合計所得要件が58万円以下とされたほか、合計所得58万円超123万円以下の特定親族を有する場合に最大63万円が控除される(その特定親族の合計所得の増大に従って控除額は逓減します)特定親族特別控除が創設されました。
(令和7年分の所得税及び令和8年分の住民税から適用、給与源泉徴収については令和7年12月の年末調整について適用、また、令和8年1月以後の給与源泉徴収については特定親族の合計所得が100万円以下の場合に適用)
4.生命保険料控除の拡充
新生命保険料にかかる生命保険料控除について、23歳未満の扶養親族を有する場合には最大控除額が6万円(改正前:4万円)とされました(控除額の計算は保険料3万円超6万円以下の部分は2分の1、6万円超12万円以下の部分は4分の1)。また、この適用を受ける新生命保険料とともに旧生命保険料を支払った場合の一般生命保険料控除の最大控除額も6万円(改正前:4万円)とされました。なお、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除を含めた生命保険料控除の合計適用限度額は12万円のままとされました。
(令和8年分の所得税について適用)
5.退職所得控除の調整規定の見直しほか
①退職手当の支払いを受ける年以前10年内に受けた老齢一時金(令和8年以後に受けるものに限ります)について、退職所得控除額計算における勤続期間の重複排除の対象とされました。
(令和8年分以後の所得税について適用)
②税務署長へ提出しなければならない退職所得の源泉徴収票の範囲が、すべての退職手当にかかる源泉徴収票に拡大されました。
(令和8年1月以後に支払われる退職手当について適用)